みどう俳壇2025年4月の特選句(石川多歌司 選)

老いてなほ初心忘れず筆始(甲賀市)清野 光代

(甲賀市)清野 光代

高齢になっても正月二日の書初は今尚欠かさず行っている作者。子どもの頃に習い始めた書道を通じて生活上の作法も教わったのかも知れない。その頃の初心を忘れない作者の生き様が垣間見える。

看板に売地と大書冬ざるる(芦屋市)戸田 祐一

(芦屋市)戸田 祐一

市街地から離れた所の売地なのであろう。敷地内の草木は枯れ果てて荒れて物寂しい敷地には、売地と大書した看板が立っているだけで一層寂しさが募ることに感慨の作者。情景が伝わってくる。

腕貸して歩行訓練春隣(豊中市)上杉千代子

(豊中市)上杉千代子

春が間近の冬の終りの頃。足が悪くて歩行訓練をしているご主人に、少し暖かくなった庭でのリハビリに腕を貸して助けている作者。一日も早くご主人の歩行が復活することを願う作者である。