「健康へつながる 新しい挑戦」この人にきく・仲野徹さん①
大阪大学医学部医学科卒業後、内科医から研究の道へ進み、細胞の分化や発生の研究をしてきた仲野徹さん。
自身の専門である医学や生命科学の視点から、病気や不調と付き合いながら、いかに毎日を「元気に」過ごすかを伝えています。
今回は、肉体的・精神的に健康に過ごすコツについて伺いました。

なかの・とおる/1957年、大阪府生まれ。大阪大学医学部医学科卒業後、内科医から研究の道へ。ドイツ留学、京都大学医学部講師、大阪大学微生物病研究所教授を経て、2004年から大阪大学大学院医学系研究科病理学教授。12年日本医師会医学賞受賞。22年退官、現大阪大学名誉教授。著書に『エピジェネティクス』(岩波新書)、『仲野教授の この座右の銘が効きまっせ!』 (ミシマ社)など。
三日坊主でも気にしない
40代以降、だんだんと身体の不調を感じやすくなり、健康が気になり始める方も多いのではないでしょうか。仲野さん自身、健康を意識し始めたのは「60代になってから」だそうですが、振り返ると「40代後半からもっと気をつければよかった⋯」と語ります。
40代後半は、一般的に仕事が一番忙しい時期であると同時に、キャリアにおいて重要な判断を迫られる年齢でもあります。仲野さんは、この頃、体調自体に大きな問題はなかったものの、忙しさの中で「このまま変わらず行くのだろう」「新しい友人も増えないだろうし、面白くない」といった一種の“黄昏状態”に陥っていたそうです。
そんなとき、生活習慣を変える本『キッパリ!』(上大岡トメ著)に出会い、実践を試みることに。内容は「人に会ったらおはようと挨拶する」「一日10回ありがとうと言う」「ラジオ体操をする」など、日常でできることでしたが、それらを実践したことで気持ちが切り替わったとか。「生活習慣を変えることで自分自身も変わっていけるんだ」ということがはっきりと実感でき、黄昏状態から抜け出すきっかけになったそうです。
小さなことでも継続するのは難しそうですが、三日坊主になっても気に病まず、「また始めればいい」という柔軟な姿勢が大切だといいます。
“アウェイのすすめ”
さらに「健康」には肉体的だけでなく、精神的な観点も大事だと言います。仲野さんによると、何でもいいので“新しいことにチャレンジする”ことが、精神的な健康度を上げるのにもとても良いそうです。
特に、学生などの若い世代に向けては「アウェイのすすめ」とよく言うとか。これは、知らない人のいる場所などへできるだけ出かけてみようという提案です。「行っても知らない人しかいないので、最初は面白くないですよ(笑)。でも10回に1、2回の割合で新しい出会いがある。自分から行かないと向こうからはなかなかやってきてくれないですからね」と仲野さん。
興味のない分野でも、「ちょっといろんなところを覗いてみようかな」という軽い気持ちで出かけてみるのが大切だといいます。
年齢を重ねると新しい挑戦をつい面倒くさがってしまうかもしれません。また、若くても、わざわざ知らない人と知り合うより、SNSで気に入った人たちと繋がっている方が楽だと感じるかもしれません。さらに、新しい場に出るときには「格好悪いかな」と自分のことを気にしてしまうことも多いでしょう。しかし、仲野さんは「実際には周囲のほとんどの人は自分が思うほど他人のことを気にしていない。あまり恥ずかしいとは思わずに、行動に移してみたらいいですよ」とやわらかく話します。
そう意識してみると、新たな人間関係や挑戦の機会は、日常生活の中にあふれていることに気づきます。ちょっとした勇気と行動で「健康度」を上げられるのです。 〈続〉
(2026.01.01南御堂新聞 第762号掲載)
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