本堂耐震工事の詳細について
難波別院では、2012年に日建設計による耐震調査を実施した結果、山門を兼ねた施設「御堂会館」について、施設の老朽化に加え、耐震性が十分ではなく、震度5強以上の地震により被害が生じる恐れがあることが判明いたしました。
この結果を受け、2016年1月より御堂会館を休館とし、今後の運営について慎重に検討を重ねた結果、定期借地権を活用した建て替え工事を行うことが決定されました。これは、難波別院が山門の土地を事業者に貸与し、その活用方法について協議を行うという、日本でも初めての試みとなる大規模事業です。
ただし、山門全体を事業に活用してしまうと、本来の山門としての意義が薄れてしまうため、一部の施設を賃借することで、山門としての機能を維持しつつ、60年後の定期借地権満了を見据え、次世代のお寺の在り方を考え、これまで以上に市民に親しまれることを目指す新たな取り組みがスタートいたしました。
その後、積水ハウス不動産関西株式会社の協力のもと、2019年11月に御堂会館は、現在の山門一体型複合施設「積水ハウス不動産関西 南御堂ビル」として建て替えられました。この再出発は、戦災復興当時の先達が抱かれていた、「山門をご縁として一人でも多くの方にお寺の門をくぐっていただきたい」、「御堂筋から直接ほとけさまを拝んでいただけるようにしたい」という思いを受け継ぐものです。さらに、山門の開口部を従来よりも大きくすることで、これまでお寺の存在に気づかなかった方々にも知っていただけるよう、という新たな願いも込められています。
こうして、耐震設計の見直しから始まり、新たな山門として再出発を果たした難波別院ですが、同時期に建設された本堂についても、耐震構造に課題がないわけではありませんでした。今後の未来を見据え、本堂を護持していくためには、耐震改修工事が不可欠なことでありました。そのため、御堂会館の完成から1年後の2020年11月より、本堂等の耐震工事を3期に分けて実施し、2023年5月31日に全ての工程が無事完了いたしました。
つきましては、下記の期間に実施いたしました工事の内容についてご報告申し上げます。
【工事期間】
第1期2020年11月1日~2021年5月31日
第2期2021年11月1日~2022年5月31日
第3期2022年11月1日~2023年5月31日
【第1期工事について】
第1期工事では、本堂の耐震補強工事を中心に、外周壁の必要箇所に鉄筋コンクリート壁の増し打ちを行い、耐震指数の目標値を達成しました。
大屋根の鉄筋補強においては、既存の鉄骨構造をすべて残したまま、新たに補強部材を追加するという高度な工事を実施いたしました。また、参詣席の天井部分には金属パネルを施工し、モルタル壁の落下防止処理も併せて行いました。
さらに、本堂裏手にはエレベーターを新たに設置し、これにより地下納骨壇室までのアクセスが格段に向上いたしました。加えて、南側玄関のガラス製の框(かまち)扉は自動扉へと改修され、欄干からの段差を解消することで、バリアフリー化を実現しました。
【第2期工事について】
第2期工事では、外陣天井と同様の補強を内陣天井にも実施いたしました。本堂内では、これまで音の残響が大きく、聞き取りにくいという課題がありましたが、参拝席の格天井に吸音材を導入し、スピーカーを増設を行うなど、音環境の改善を図りました。また、照明についてはLED照明を取り入れ、堂内をこれまでよりも明るく照らす改修工事を行いました。
さらに、受付対応の円滑化を目的として、難波別院事務所および志納所を本堂正面に移設いたしました。当初は第3期に実施予定であった一部の工事も、できる限り早く本堂を使用できる環境を整えるため、第2期に繰り上げて施工することといたしました。
第2期工事完了に伴い、2022年3月28日をもって、これまで仮本堂(同朋会館講堂)にご安置しておりましたご本尊を、本堂へ無事に還座いただきました。
【第3期工事について】
工事の最終段階となる第3期工事では、本堂の正面の大幅な改修が行われました。本堂から向拝にかけての段差を解消し、参拝席と同じ高さに床面を引き上げるとともに、新たな入口として自動扉を備えたガラススクリーンを設置いたしました。これにより、御堂筋からの騒音を遮断しつつ、開放的で快適な参拝空間が実現しました。
また、本堂北側に設置されているスロープについても改修を行い、より多くの方が安心してお参りいただけるよう、バリアフリーの環境の整備を進めました。
さらに、第3期工事の完了により、納骨壇への参拝経路や志納所(受付)へのアクセスも、従来通り本堂正面からアプローチできる形となり、利便性が向上しました。
【本堂耐震工事を終えて】
この度の「難波別院本堂等耐震工事」に際し、ご参拝の皆様には深いご理解とご協力を賜りましたこと、篤く御礼申し上げます。今後、新たに生まれ変わった本堂で、引き続き皆様とともに仏法聴聞に勤しみたく存じます。
皆様のご参拝を心よりお待ち申し上げます。
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