難波別院へご参拝の皆さまへ

~新型コロナウイルスの対応について~

 難波別院(南御堂)では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大という予断を許さない状況を重く受け止め、諸講座・諸行事を中止とさせていただいております。ご参加を予定していただいていた皆様には心よりお詫び申し上げます。
 日本のみならず、このたびの新型コロナウイルス感染症は、全世界で約20万人を超える方々が発病し、約1万人の方々がお亡くなりになられました。ここに哀悼の意を表しますとともに、発病され療養中の方々、そのご家族の方々に心よりのお見舞いと、一日も早いご快復を念じ申し上げます。また、緊迫した状況下で治療に尽力されている関係各位に深く敬意と深甚の謝意を表させていただきます。

 現在、新型コロナウイルス感染症という、目に見えない脅威が私たちを覆い、世の中は感染に怯えています。あらゆる情報が飛び交い、連日にわたってウイルスと関連するものが報道されている中、一人の力ではどうしようもない不安・混乱が生じている今だからこそ共に考えるべきことがあるのではないでしょうか。
 1492(延徳4)年、本願寺第8代・蓮如上人は、「疫癘の御文」というものを著されています。人類の歴史を省みると、これまでにも「はやりやまい(流行病)」に苦しみ、悩まされてきました。蓮如上人の時代も例外なく、疫病に人々は悩まされていました。おそらく、当時の人々も、今と同じように不安の中で生活をされていたと思われます。そこで、蓮如上人は、人は疫病だけによって死ぬのではなく、生まれたときから死は我われに定まっていることとおっしゃっています。そして、そのように迷い苦しむ私たちに対して、わが命そのものを問い直し、阿弥陀如来の救いとお念仏申す生活を依り処として限られた命を大事にして欲しいと願われたのです。
 今、私たちは、いろいろな言説に惑わされ、多くの人が不安に陥っています。本当のことが分からないので、疑心暗鬼になっているのも無理からぬことでしょうが、こうした不安の根源には、人間の老病死する事実を言い当てられた如来真実に頷けない私たち自身の闇が潜んでいると言えると思います。やはり、親鸞聖人が顕かにされた「共に悩み、共に苦しむ」というお念仏のみ教えを確かめ続けなければなりません。死を感じる時であるからこそ、私自身が死んでいく身を生きているということを、「逆縁」として、わが人生の尊さをいただいていくことが大切だと感じていただきたいと思います。

 現在、本山・東本願寺が5月6日(水)まで感染拡大防止の対応を延長することが決定いたしました。難波別院といたしましても、本山同様、対応を延長させていただくことといたしました。参加者の健康・安全面を第一に考慮し中止とさせていただいておりますが、一日でも早い終息を願うとともに、仏法聴聞の場を再開できるよう準備してまいります。
 何卒、深いご理解を賜りますようお願い申し上げます。

2020年3月25日
真宗大谷派難波別院 輪番 大町 慶華

い合わせ

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