嫌な人とも付き合える秘訣は?
問 職場に自分のことしか考えない我儘な上司がいます。仕事を押しつける、責任をなすりつけるなど、一緒に仕事をしていて嫌な思いばかりします。関わらないでいたいのですが、そういうわけにもいきません。嫌な人ともストレスなく付き合える秘訣を教えて下さい。(25歳・女性)
答 職場で、我儘な上司と仕事をしなければならないことほど、苦痛な事はありませんね。毎日の事ですからストレスも溜まるでしょうし、そのことが原因で体調を崩してしまうということも考えられます。そうなれば仕事どころではありません。思い切って、今のお仕事をお辞めになって心機一転、新しい職場をお探しになるのはどうでしょう。
しかし、その職場には貴女と気の合う人ばかりとは限りませんね。また我儘な人と出会わなければならないかも知れません。それではまた、職場を変えて……。と、嫌な人から逃れる逃亡者のようになってしまいます。
お釈迦様は、人間には「怨憎会苦」という苦しみがあると教えて下さっています。それは「嫌な人とも会わなければならない苦しみ」という事です。まさにこの世は「一切皆苦」「思い通りにはならないのですよ」と説かれています。
テレビ番組に「まんが日本昔話」というものがありました。その中でこんなお話しがあったことを思い出します。あるお嫁さんと姑さん。お嫁さんは毎日姑さんにコキ使われ、嫌味を言われ、大変辛い日々を過ごしていました。ついに耐えかねて、お寺の住職さんに相談に行かれます。すると住職さんは袋に入った粉末のお薬を出して、姑さんの食事に毎日少しずつ入れなさいと渡された。どうも「毒」のようです。しかし、住職さんはこう付け足しました。「このお薬を使い始めてからは、決して姑さんを恨まず、どんな時も笑顔で接するのですよ」と、お嫁さんは言われる通りにしていると、姑さんの態度が少しずつ変わってきました。お嫁さんの心の底では「もうそろそろ毒が効くころか」と考えているのですが、姑さんはいたって元気でお嫁さんに「いつもすまないね、ありがとう」とまで言ってくれます。お嫁さんはハッとし、「こんなにいい姑さんを私は殺そうとしている」と、慌てて住職さんの所へ駆け込みました。すると「心配することない、あれはただの麦の粉。姑さんを嫌だと思っている貴女の顔が鬼のようだったので、貴方に気付いてもらおうと思いました」と。
自分にとって都合の悪い人は嫌な人、しかし、優しくなり都合が良くなると善い人になる。なんとも原因はいつも向こう側にあると勝手に決めつけていたのではないでしょうか。
お寺の掲示板にこんな言葉がありました。「こちらが怒れば相手も怒る/こちらが笑えば相手も笑う/相手の顔を決めるのは/いつもこちらの顔つきだ」と。
私たちは自分を中心に生きている限り、必ず嫌な人とも会わなければなりません。まさに思い通りにならないのが私たちの人生なのです。しかしその時こそ、自分を見つめるチャンスだとも言えます。親鸞聖人は「円融至徳の嘉号は、悪を転じて徳を成す」と言われています。「円融至徳の嘉号」とは「南無阿弥陀仏」ということです。嫌な人、嫌な事は決して無くなりません。しかしそれが転じて、私を生かす大きな肥やしになるというのが南無阿弥陀仏の生き方なのです。(廣瀬 俊)
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