仏壇はいつ購入すべきか迷って…
問 私の家には仏壇がありません。夫も私も先祖代々の墓は故郷の長兄が守ってくれています。家を建てるときに、いずれ必要だろうと仏壇を置くスペースは作りました。最近、どちらかが亡くなった後に慌てて仏壇を購入するのでなく、あらかじめ準備しておいた方がよいのではと思うようになりました。しかし、亡くなった人もいないのに仏壇を置くと不吉なことが起きるのではと心配になり、いつ購入すべきか迷っています。どうしたらよいでしょうか。(60歳・女性)
答 60歳になられた今、仏壇が必要であると思うようになられたことは、よかったことですね。
その背景には、夫婦のどちらかが、遠からず亡くなるのではないかという不安があるようですね。
人は、60歳頃になると、今の自分の生き様をふり返り、これから先のことに想いを致すようです。そんな時に何か大切なことを置き去りにしてきたのではないかと気付かされるのではないでしょうか。今回のお尋ねの件もその一つだと思われます。
家を建てられた時に、仏壇を置くスペースを用意されているのは大切なものであると思われていたからでしょう。ただこれまでは購入するご縁がなかったのですね。
家にはいろいろな置物や家具がありますが、仏壇は他の物と異なった大切さがあります。
真宗門徒は、仏壇と言わずに「お内仏」と呼ぶようにしています。その理由は、単に先祖供養をするための入れ物でなく、我が家に来てくださった仏様として常に敬うからです。
「お内仏」の中心は阿弥陀如来です。右と左の両脇には帰命尽十方無碍光如来(十字名号)と南無不可思議光如来(九字名号)のお軸が掛けられています。この二つの名号は南無阿弥陀仏と同じです。
門徒は、「お内仏」の前に座り、合掌礼拝し、念仏申す日暮らしをさせていただくことを喜びとしてきました
亡くなられたご先祖は、諸仏となられて、生きている私たちに念仏申す身になるように勧めて下さっています。お経様(阿弥陀経)には「諸仏称名、讃歎阿弥陀仏」と説かれています。
あなたの家には、まだ亡くなった人はおられません。しかし御両親や祖父母もおられたはずです(その人たちは、諸仏となっておられます)。一人の人間の歴史には、量りしれない深さがあります。あなたもいづれ亡くなって諸仏となります。「お内仏」があってもなくても不吉なことは起こることもあるし、起こらないこともあります。だから気になさらずに、できるだけ早く「お内仏」を求められることをお勧めします。
「お内仏」をお求めになられたら、お給仕(お光を燈し、仏飯と仏花をお供えする)をされ、合掌礼拝し、念仏申す生活を始められることを望みます。それと共に聞法という大切なことがあります。
親鸞聖人のいただかれたお釈迦様の教えを聞き、わが身の上に確かめていく歩みを聞法と言います。この機会にご縁のあるお寺に足を運ばれ、聞法を始められたらいかがでしょうか。
聞法を重ねられると、新しいことに気付かされたり、同じ悩みや苦しみをもった人とも出遇っていけると思いますよ。
人生にはいろいろな課題があり、思わぬことも起こります。何が起きても受け止めて生きていく歩みをしたいものです。実際にどんなことも逃げられず、引き受けて生きているのが現実なのです。
(安城 正人)
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