月に達するには 方向を転じて水を澄ます 水自身を澄ませば 月は求めずして来る ~安田理深~
何がしかの事件や出来事に心をかき乱される。毎日のことでである。普通ならその原因を追及し、解決のために声をあげ、話し合い、状況を変えようとするもの。しかしそれでも世の中が思い通りになってくれるはずもなく、結果として内心に悲しみと苦しみを抱えて生きることになる。
そこで視点を変え、自らを見つめ直してみないか、と仏教は教えてくれる。澄んだ心の水面に、鏡の如く自らを観る。すると実は外因だけでなく、内面に巣食らうこだわりや、当てにしようと思う心があって、怒りが外にばかり向けられていたことに気づく。
「そうだったぁ」と報された感謝を報恩と呼ぶ。外に正義を訴えかけるだけでは足りないのだ。