人生で最も重要な二つの日は 生まれた日と その理由を見いだした日だ ~マーク・トウェイン~
2023年5月分
一歳になる子どもが、「まんま」「いやいや」と意思表示をはじめた。そのうち言葉を覚えれば“質問期”が訪れるというが、近い将来「私はなぜ生まれてきたの?」と尋ねられることもあるのだろうか。
子の誕生は嬉しい出来事であったが、同時に、先の見えない時代を生きていく我が子の将来を憂う気持ちもある。あらゆる所で争いと分断を繰り返す私たちの生き方に、戸惑い、思い悩む日も来るだろう。
「なぜ生まれてきたのか」に対する明確な答えを持ち合わせてはいないが、社会に見放されても、人生に行き詰まっても、決して見捨てない存在があるということが、「南無阿弥陀仏」のメッセージであるということを伝えていきたい。
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ただ いてくれるだけで 嬉しいのだ ~東 義方~
2023年4月分
故・東義方氏(青森県・蓮得寺)の「存在の重み」という詩の一節である。この詩には、念仏の教えを聞くと“なんにも役にたたぬとなげいているとしても”、“ただいてくれるだけでたのもしい”ともある。
宗教は、さまざまなご利益を説く。商売繁盛・無病息災・家内安全…。だがこの詩では念仏の救いを、一人ひとり、かけがえのない存在の重みが開かれることだと教えてくれている。
念仏は、いつでも・どこでも・誰でも触れることができる。そしてその教えを聞くと、互いの存在を認め合える世界が開かれてくる。それこそが、この苦しみ多き社会を共に生きぬく、温かな原動力となるのだろう。
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人の世にいのちのぬくもりあれ 人間にいのちの輝きあれ ~藤元 正樹~
2023年3月分
奈良県御所市の水平社博物館を訪ねた。藤元師のこの言葉は「人の世に熱あれ 人間に光あれ」とくくられる水平社宣言を元にしている。
さて、世の中には「同調圧力」という見えない圧力がある。かつて私自身、この圧力に悩まされた時期もあった。自分らしく、あなたらしく生きることが大切と先人に教えられたものの、自分を超える大きな力が作用するとき、果たして本当に私らしく生き、他者を尊重することができるだろうか。
博物館には「もっと暖かい人の世を」ともある。〝私〟と〝あなた〟は、同じである必要はない。それぞれの個を認め合うところにぬくもりが生じ、そこにいのちの輝きが生まれるのではないか。
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生涯を尽くしても、出会わねばならない、ただひとりの人がいる。それは、私自身 ~廣瀬 杲 ~
2023年2月分
「あなたの生きる意味は何ですか?」。この問いを与えられた時から未だに明確な答えが出ない。家族のため、仕事のため、考えれば私の生きる理由は山のようだ。しかし、「本当にそれが生きる意味か」と自問自答した時、胸を張ってYESとは頷けない。
生きるとは何か。廣瀬師は「生涯を尽くして」と、尋ね続けることの大切さを教えている。しかし、仏法を聞けば聞くほど見えてくるのは、そう簡単に頷けない“頑固なわたし”だ。所詮人間は、言葉や価値観に執われ、自分の本当の姿すらもまともに見ることができない、ちっぽけな存在なのかもしれない。廣瀬師は、そんな私に対して、生涯を尽くして“わたし”と向き合いなさいと伝えている。
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こけたら 立ちなはれ 立ったら 歩きなはれ ~松下 幸之助 ~
2023年1月分
新年早々に玄関先でこける。降りた霜に足を滑らせたのだ。慌てて雪駄を拾い、履物が悪いとばかりに言い訳をした。不意に出た照れ隠しとは言え、自分の不注意を省みない姿に恥ずかしさを覚えた。
全てにおいて成功したように窺える松下氏だが、成功するためには数々の失敗もしたそうだ。その都度たくさんの協力者によって困難な目的をも成し遂げられたのだ。
私たちも些細な出来事に躓き、失敗を繰り返す毎に落ち込む。あたかも孤立したかのように感じるが、自分の思いが外れただけの事である。阿弥陀さまはそんな私が失敗を得て、より豊かに歩み始めることを願われている。
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求めすぎない 欲なんて きりなくあるんですから ~樹木 希林 ~
求めすぎない
欲なんて
きりなくあるんですから
私たちは、たくさんの“もの”を所有し、それに囲まれている。それでも、新しいものや、より良いものを目にすると欲しくなり、身の回りがどんどん“もの”で溢れてくる。
周りの人と比べて見劣りしないように、つい背伸びをしてまで手に入れてしまう。ちょっとでもおしゃれに、少しでも人から“いいね”って言われたい。
自分への不安や劣等感の裏返しが、こんな形で溢れ出しているのかもしれない。
この言葉の後には「足るを知るではないけれど、自分の身の丈にあったレベルでよしとするのも人生です」と続く。この言葉はすぐに求めすぎてしまう私に、立ち止まるきっかけを与えてくれている。
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不満はね ストレスの素よ 感謝は エネルギーになるのよね ~森 光子~
不満はね
ストレスの素よ
感謝は
エネルギーになるのよね
私たちは人間関係などにより、日々ストレスにさらされている。それは一見、周りの環境によるものと考えているが実はそうではない。原因は私たちの内面から来ていると仏教は教えてくれる。周りをあてにしたり、周りのせいにする心である。あてが外れたり周りのせいにするから、不満は止まらない。
視点を変え、手を合わせ、静かに内面を見つめてみよう。私という個体は、食物、空気や環境、友人、家族…世界全体から整えられていて存在している。それを有ることが難しい、「有り難い」と表現する。居場所はすでに整えられてあったといただくところに生きるエネルギーが湧き上がってくる。あてにするのではなく、尽くしてゆける道が開かれる。
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人生とは 今日一日のことである ~デール・カーネギー~
人生とは
今日一日のことである
人生、善い日があったり、悪いとしか思えないような日の繰り返しである。その全てを受けとめ1日1日を精一杯生きるしかない。それが人生である。では私たちは本当に精一杯、大切に毎日を過ごせているか。「やれやれ」と他人事のように思ったり、「明日がある」と先延ばしにしたり、そんな日々ではないか。
この日常が明日も続くと思い込んでいるうちは、未来ばかり見つめ、過去を忘れ去り、そして「今を見失う」。今をどう過ごしたかが大切にできなければ、一日一日積み上げたはずの人生は結果として空しく過ぎた日々の山積みでしかない。良し悪しによらず、かけがえのないこの一日を大切にする意識が、後悔のない人生を与えてくれる。
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上機嫌は 人が着ることができる 最上の衣装である ~ウィリアム・メイクピース・サッカレー~
上機嫌は
人が着ることができる
最上の衣装である
常日頃から上機嫌でいることは難しい。気分の浮き沈みは人にとってつきものであるが、不機嫌(ネガティブ)な意見や行動を打ち消すのに3倍の量のポジティブな意見や行動が必要だそうだ。また、不機嫌は周りを不愉快にさせるうえに、自分自身では気づけない。思い通りにいかないことに苛立つ自分の姿が容易に想像できる。
人は組織やグループなど、何かに所属し、つながりをもたないと生きていけない。不機嫌な自分でありながら、もし居場所があるのなら、それはひとえに周りからの頷きと受け入れがあるからだ。つながりを生きる中で、和やかな顔でやさしい言葉をもつことの大切さを確かめていきたい。
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多くの人は 見たいと欲する 現実しか見ていない ~ユリウス・カエサル~
多くの人は
見たいと欲する
現実しか見ていない
アフガニスタンで65万人の命と生活を守った故•中村哲さん(医師)は、小学3年生のときに初めて“ハンミョウ”という昆虫に触れて感動した。紺色と赤色の模様が輝く精悍な容姿の昆虫で、初めはとても日本に生息するとは思わなかったが、近所の野山にいることを知り、これまで自分が“見ようとするものしか見えていなかった”ことを実感したという。
ハンミョウは、人間を先導するかのごとく歩く先を飛び跳ねるので、「ミチオシエ」とも呼ばれているそうだ。私たちは普段から、自分の都合の良いことや欲しいものしか見ないという、思いや価値観に振り回されている。一度、自分の脚下を照らされ顧みて、歩みを確かめていきたい。
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